侍ジャパンはモロイ?

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第1ラウンド最大のヤマ場がいきなりやってきた。WBCのB組日本は7日午後7時、強化試合ではサッパリだったキューバと対戦する。開幕直前の実戦7試合でキューバは1勝5敗1分け。手の内を明かさないために「寝たふり」しているという見方もあるが、前日の小久保監督は「独特の緊張感があるので、厳しい戦いになると思う。初戦なんとかいい形でスタートを切れれば乗っていけるのではないか」と言った。

■自身にイチローを重ね

 今大会の日本代表が乗っていけるかどうかは、キューバ戦の結果だけではない。唯一のメジャーリーガーとして参加している青木宣親(35=アストロズ)の言動が大きなポイントになりそうだ。

 2日から代表に合流した最年長メンバーは、チームメートに「ノリさんか青さんと呼んでください」と挨拶。積極的に選手と交流し、チームを牽引すべく精力的に動いている。

 06年、09年大会を連覇した時のメンバーだった青木は今大会で、自らを09年のイチローマーリンズ)に重ねているのは明らかだ。「イチローさんのように、というとあれですが、言葉で言っていくことも大事。いろいろな姿を見せることで日本代表の力になれればいい」と語り、自分がチームリーダーを務め、「世界一」の称号を奪回するため、粉骨砕身の覚悟で帰国した。

 青木は準決勝で負けた13年の前回大会は欠場。脳裏に焼き付いているのは09年のイチロー(当時35歳)の姿だ。連覇を義務付けられたチームの先頭に立ったイチローは、青木や川崎といった若い選手とコミュニケーションを取りつつ、万全の状態で本番を迎えるも、極度の不振に陥った。大会中、胃潰瘍に苦しみながらもベンチの最前列で大声で声援を送る姿を青木は間近で見ていた。年齢も実績の面でも、「今回は自分がリーダーにならなければ」と思っているのは、日本代表でただひとりのメジャーリーガーとして当然だろう。

 日本代表は今、その青木に頼らざるを得ない状況にあるという。開幕前の練習・強化試合は2勝3敗で負け越し。打線はサッパリで、投手陣は武田のように、今でも滑るWBC球に不慣れな者もいる。

■侍Jは初代表が22人も

 さらに選手を不安にさせているのが首脳陣だ。小久保監督はここまで細かい指示を出さず、調子が上がらない野手の調整を選手任せにしてきた。キューバ戦の打順も本番直前まで決めかねるなど、経験不足が露呈した。

「06年の第1回大会は世界の王で、09年の第2回はリーグ連覇した巨人の原監督ですからね。小久保はプロ野球の監督経験はないし、多くを求めるのは酷にしても、コーチの動かし方やチーム方針を明確にするなど、大将としてやるべきことをやっていないという印象です。さらに連覇時は、投打の中心だったイチローと松坂だけでなく、他のメンバーも重量級がズラリ。主力捕手もよく打った(06年里崎=打率.409、09年城島=.333)。09年はイチローがスランプに苦しんでも、それを補えるだけの打線だった。青木にはイチローほどのカリスマ性はないが、今回はWBC初代表が22人もいる。チーム事情からも選手たちは青木に頼らざるをえないわけです」(球界OB)

 大阪での強化試合の際、青木は坂本(巨人)らとベンチでしきりに話す場面が見られた。5日のオリックス戦、初回に藤浪(阪神)が2点を奪われ先制された直後には、選手を集めて「こんな時もある。あと8イニングあるから」と鼓舞した。1次ラウンド開幕を翌日に控えた6日の練習中も、稲葉打撃コーチと何度も話し、ベテランの内川(ソフトバンク)には打撃フォームをアドバイスした。

 合宿中、打撃不振に悩んでいた中田は、「最後の最後で自分のスイングを取り戻した」と言った。大阪合宿中の4日夜、中田は青木と母校(大阪桐蔭)の先輩でもある西岡(阪神)と会食した。その際、青木やメジャー経験のある西岡にいろいろとアドバイスをもらったことがプラスになったことは想像に難くない。別の球界OBが言う。

「選手たちが青木を頼りにしているのは間違いない。とくに野手は、外国人投手の動くボールへの対処に苦慮している。見極めようとしすぎると差し込まれてしまうからです。今後、対戦するであろうメジャー級の投手となると、さらに球威もある。稲葉コーチが合宿中の特打で青木の意見を参考にして、至近距離からのボールを打つ練習をした。青木にはチームリーダーとしての意気込みが多分に感じられる」

■大黒柱がスランプになったら…

 小久保監督も青木には大きな信頼を寄せている。7日のキューバ戦では3番起用を示唆するなど、戦力面でもまさに主力だ。

 しかし、その存在が際立てば際立つほど、侍ジャパンの精神的支柱がポキリと折れたときが心配。戦力でもメンタルでも選手が頼りにする大黒柱がスランプになったとき、チームに動揺が広がるのは必至だし、ダメージは大きいからだ。

 キューバ戦を前に「今まで準備してきたことをプレーで出したい。(他の選手には)その場その場で気付いたことがあれば、話をしたい」と意気込みを語った青木の胃に穴が開かなければいいのだが……。

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